■使い捨て(1)--新釈国語2009/06/24

 原義は、使い終わったら捨てること。しかし「捨てる」と表現された中身を吟味すると、言葉の意味も実態も単純単一なものではないことが理解できる。ひとつは使い捨てのカイロに代表される組み合わせがこれに当たる。中身が特定の使用目的に限定された造りとなっているため一度使用すると同じ目的での再使用は叶わず、必然的に廃棄するしかなくなる使用実態をいう。再資源化といっても例えばカイロの場合、中身は鉄粉、活性炭、バーミキュライト(保水剤)が普通だから庭の土に混ぜるくらいしかないだろう。
 一方、同じく使い捨てと呼ばれるものでも、カメラの場合は「捨てる」の意味が全く異なっている。このカメラは面倒なフィルムの装填を不要にして購入者に撮影という本来の目的だけに集中できるよう工夫した商品だが、現像所を巻き込んだ資源回収の仕組みを構築することによってカメラ本体の再使用や再資源化を可能にした。つまり利用者には使い捨てのように見えても決してカメラが廃棄されるわけではない。これが使用実態から見た「捨てる」のもう一つの意味である。メーカー側も近年は「レンズ付きフィルム」と呼称を改め、従来の使い捨てとは発想が異なることをアピールしている。(つづく)

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