◎練馬野にも空襲があった 8 ― 2010/03/14
「被害はそれだけだったけどね。でも日本が負ける徴(しる)しではないかって、みんなが言ったんだ…」
「そんなことがあったのですか?」
「そんなことがあったのですか?」
「それから、別の空襲の時にはね、おばあちゃんが一人亡くなったんだ…」
「空襲で亡くなった人がこの辺りにもいたのですね?!」
「空襲で亡くなった人がこの辺りにもいたのですね?!」
「ウチの近所だけどね。丸山ってとこの近くで、おばあちゃんが孫と留守番をしていたときに空襲さあって、背中をやられたんだ…」
そう言って、一息ついて窓の外に目をやった。亡くなったそのおばあちゃんの顔が急に浮かんできたのかも知れない。
そう言って、一息ついて窓の外に目をやった。亡くなったそのおばあちゃんの顔が急に浮かんできたのかも知れない。
「おばあちゃんが、とっさに孫を抱えて地面にうずくまったんだって…。だから孫だけは無傷で助かったのよ。きっとおばあちゃんは身代わりになったんだって、みんなして言って泣いたね…」
それっきり女性は押し黙ってしまった。封印されていた記憶が蘇り、辛くなったのだろう。目頭を押さえていた。(つづく)
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