◎漢名探し(9)--アジサイの季節2009/06/15

 漢名の紫陽花(シヨウカ)には辛夷(シンイ)をコブシと呼ばせるような違和感はほとんど感じません。漢字の意味から来る印象がどこかでアジサイの花に重なるからでしょう。この呼称を中国で最初に用いたのは唐代の詩人・白居易です。そう主張するのは彼の詩に「紫陽花詩」と題するものがあり、その注が「白氏文集」に見えるからです。それによると、招賢寺という寺院に誰もその名を知らない「色紫氣香、芳麗可愛」の山花が一樹あり、まるで仙人が育てた物(頗類仙物)のようであったと記しています。これが白居易による「紫陽花」という山花の名前の由来です。
 この招賢寺については江州と記したものを見かけますが、正しくは杭州に刺史(州の長官)として赴任していたときのことではないでしょうか。最近「杭州仏教文献叢刊」の第2輯として同寺の略記が出版されたと聞きます。いずれ確認できるでしょう。
 なお「紫陽花詩」については東京町田の曹洞宗寺院・大蔵山安全寺の住職秋田紫雲さんのブログの2007.05.26付け記事「作品紹介4 紫陽花」が参考になるでしょう。まだ若い禅僧ですが書家としての修行もされ、なかなかの勉強家でもあるとお見受けしました。下記のページでお確かめください。

 ⇒http://anzenji.jugem.jp/?month=200705

 写真は山の斜面の日当たりのよい場所に咲くヤマアジサイです。万葉の時代にも、このように顎の縁が薄く紅を帯びたものがあったのではないかと想像します。続きは16時過ぎの予定です。

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