◎季節の言葉 花冷え ― 2010/03/30
桜が開花する3月の下旬は彼岸を過ぎたとはいえ、陽気は決して温暖一辺倒ではない。急に冷え込んで夜桜見物などとても無理ということが珍しくない。花冷えはそんな時候を巧みに表現した言葉である。
とはいえ、昨日来の冷え込みは尋常なものではない。箱根には40センチを超える大雪が降った。つい半月前に箱根峠へ行ったとき、道の端や斜面の岩陰に残る雪をみて名残雪だ風流だと喜んだことがまるで嘘のようだ。冬は終っていなかったのである。
お陰で桜はこの1週間、全く成長を止めてしまったかと思われるほどじっとして動きがない。レンズ越しに覗くと強い雨や寒気に打たれて花びらの端が所々茶色に変じた気の毒なものもあるにはあるが大半はまだ初々しく、陽気の好転を辛抱強く待っている。
とはいえ、昨日来の冷え込みは尋常なものではない。箱根には40センチを超える大雪が降った。つい半月前に箱根峠へ行ったとき、道の端や斜面の岩陰に残る雪をみて名残雪だ風流だと喜んだことがまるで嘘のようだ。冬は終っていなかったのである。
お陰で桜はこの1週間、全く成長を止めてしまったかと思われるほどじっとして動きがない。レンズ越しに覗くと強い雨や寒気に打たれて花びらの端が所々茶色に変じた気の毒なものもあるにはあるが大半はまだ初々しく、陽気の好転を辛抱強く待っている。
寒冷前線の通過が暦を2ヵ月ほど前に押し戻してしまった。ついでに空気まで冬の清浄なものに入れ替えていった。そのせいで今日は、富士山の頂上近くに落ちる見事な夕日を心ゆくまで眺めることができた。だが指の先も手の甲も冷たい風に晒されて、すっかり悴(かじか)んでしまった。油断すると風邪を引きかねない。花冷えは風流でも年寄りには優しくない。心底報える。
花冷の道を下水の音くぐる 石井ながし
コメントをどうぞ
※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。
※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。