◆青鷺(1)2010/03/23

 先日、佐渡トキ保護センターの野生復帰ステーションにある順化ケージと呼ばれる訓練施設内に移されたばかりのトキが夜間、正体不明の小動物に襲われ大半が死ぬという悲しい事件が起こりました。襲った側の動物から見れば、わざわざ自分のために出入り自由の檻を設けてくれ、そこに2月4日に5羽、2月19日に6羽と計11羽も餌を入れてくれたようなものです。目の前にこんな魅力的なものを用意され、襲った側はきっといても立ってもいられなくなったのでしょう。それが野生動物の本能であり、弱肉強食世界の現実なのです。もしトキの世界にマスメディアがあれば「人間をトキの過失致死罪や過失傷害罪で訴えろ」と息巻くことでしょう。

 環境省とかトキ保護センターとか自然保護官などと云っても、それらの言葉になにがしかの価値や有難味を感じるのは人間界だけの話です。自然界には学歴も学力も資格も肩書きも通用することはありません。そんなもので野生生物の命を守れるなどと考えるのは誤りです。人間がいかに思い上がった動物であるか、いかに愚かな生き物であるかを証明するだけです。このことを深く自覚し十分肝に銘じて自戒に努めなければ、こうした犠牲を防ぐことは今後も難しいでしょう。まず専門家を学歴や学力で一律に判断することの愚を改める必要があります。


 前置きが長くなりました。今日紹介するサギは、このトキと同じくコウノトリの仲間です。そのため姿や形に似通った点がいくつもあります。しかし幸か不幸か、今のところ特別天然記念物や国際保護鳥に指定されるほどの希少性はないようです。保護センターに捕獲されたり窮屈な檻に閉じこめられたりする憂き目にも遭わず、勝手気ままに暮らしています。(つづく)

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