五月の風(12)2009/05/14

見納めになりませんよう…
 今日はサラサドウダンをご紹介します。もう20年近くも前に叔母から贈られたものです。幸い枯れることも弱ることもなく順調に育って、細くても双幹のほどよい高さに仕上がり叔母を安堵させました。
 ところが数年前、義兄姉たちと庭でバーベキューをした際、突然強風が吹いて火が熾(おこ)り2メートル近く離れていたこの樹木の根元を水平の炎と熱風とが襲いました。たちまち下枝は黄色く枯れて、午後には片方の幹から伸びた枝先の葉も萎れだしました。辛うじて残ったもう片方の幹も下枝は途中まで枯れてしまい、翌年果たして芽を出すだろうかと案じられました。
 最悪の事態だけは避けられ、わずかですが今年も新芽を出し、こうしてまたきれいな花を見せてくれました。しかし年々弱っているようにも感じられます。以来、庭でのバーベキューは止めました。今年が見納めかも知れないと撮した中の1枚です。

簑ひとつ山吹(2)2009/05/14

ぼくたち実生です!
 この話に疑問を持ったのは10年以上も前のことです。その頃、庭の隅には一重の山吹が一叢(ひとむら)植えられていました。祖父や先祖が眠る墓地の近くから根付きで一株切り離して移したものです。それ以外は近所にも一重の山吹を見ることはありませんでした。
 その年もすでに夏近くのことです。ある日、山吹からはだいぶ離れた場所に小さな、しかしすぐに山吹と分かる細い苗を見つけました。春には山桜や椎や藤などいろんな木々の苗が芽を出します。放っておくと伸びて大きくなるので退治していました。しかし山吹の苗は初めてでした。すぐに道灌の話が頭に浮かんできました。不審に思い、根が切れないように土ごとそっと掘り採って調べてみました。
 山吹を剪定した枝先が落ちて挿し木となって芽を出したものなら、それなりの太さがあります。また根元は瘤(こぶ)になって、切り口を塞ぐように根を出すはずです。しかしその苗はか細く、細い根も土色をした根元から自然に伸びたものでした。明らかに実生と分かる山吹でした。(つづく)