簑ひとつ山吹(2)2009/05/14

ぼくたち実生です!
 この話に疑問を持ったのは10年以上も前のことです。その頃、庭の隅には一重の山吹が一叢(ひとむら)植えられていました。祖父や先祖が眠る墓地の近くから根付きで一株切り離して移したものです。それ以外は近所にも一重の山吹を見ることはありませんでした。
 その年もすでに夏近くのことです。ある日、山吹からはだいぶ離れた場所に小さな、しかしすぐに山吹と分かる細い苗を見つけました。春には山桜や椎や藤などいろんな木々の苗が芽を出します。放っておくと伸びて大きくなるので退治していました。しかし山吹の苗は初めてでした。すぐに道灌の話が頭に浮かんできました。不審に思い、根が切れないように土ごとそっと掘り採って調べてみました。
 山吹を剪定した枝先が落ちて挿し木となって芽を出したものなら、それなりの太さがあります。また根元は瘤(こぶ)になって、切り口を塞ぐように根を出すはずです。しかしその苗はか細く、細い根も土色をした根元から自然に伸びたものでした。明らかに実生と分かる山吹でした。(つづく)

コメント

_ 空蝉 ― 2009/06/04 20:31

子供の頃庭に咲いていた一重の山吹懐かしいです、おっしゃるように学校で習った事から山吹には実がないと思っておりました。
 しかし我が家にある一重の白山吹には黒い小さな実がなっております。
 コメントを頂いたお陰で此処に辿り着き、少しずつ勉強させて頂いております。

_ まさと ― 2009/06/04 22:41

空蝉さま お読みいただき光栄です。世の中には似たようなことがまだまだほかにもあるように感じます。ご教示ありがとうございました。

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