特集・アジサイの季節(5)2009/06/08

 紫陽花は半分草のような低木です。成長が早いので手入れを怠るとすぐに背が高くなります。花は木のてっぺんに付きます。手入れが悪いと、この写真のように花を下から見上げることになります。こんな姿勢で一時間余も紫陽花を見て回ると首筋が凝ってしまいます。
 もう今となっては昔話でしょう。ある著名なお寺の坊さんが戒律も忘れ修行も忘れて、毎日夕方になると近隣の飲食店などに出没するようになりました。お寺の財政は降って湧いたような拝観料収入のおかげで大変潤っていました。お坊さんはどこへ行っても人気者でした。そのため、ついつい気が大きくなり、いつの間にか自分の財布とお寺の財布の区別が付かなくなってしまいました。
 そして浄罪の源が紫陽花にあることも忘れて美食に凝り、女色に耽るようになりました。人は正直なもので、そうなると紫陽花の手入れよりも「お滝さん」の世話に多くの時間を割き、神経を使うようになってしまいました。毎年のように寺を訪れ紫陽花の花を楽しみに見て回った参拝客が帰宅後ひどく首筋が凝ると感じたのも、ちょうど同じ頃のことでした。
 新聞の地方版の隅に、この坊さんの不始末が掲載されたのは、さらに何年か経ってからのことです。この間、多くの見物客が紫陽花を見に行っては、この頃は首筋が凝って仕方ないと感じていたそうです。

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