■存在感--新釈国語2009/06/22

 何かがそこに紛れもなく存在しているということを思わせずにはおかない感じ。主に人についていう。その人物の何が存在感の因(もと)になるのかは人それぞれで異なる。一般的にはその人物が醸し出す独特の味わいに因(よ)ることが多そうだ。近年、大臣の影が薄い。名前も顔もまるで思い出すことができない。頻繁に替わるせいもあろうが何より存在感のない政治家が増えたせいではないだろうか。各省庁が発表している歴代の大臣名を見ても、顔どころか名前も業績もさっぱり知らない人が並んでいる。単に存在感があればいい、大きければいいというものでは決してないが、こうも小物ばかり並ぶと政治の疲弊が案じられる。
 それはまた家族における父親の存在についても同様である。但し父親の存在感は政治家のそれとは異なる。原因は小物だからとか働きが悪いからというような問題ではない。原因の半分は母親にある。国民が大臣を選ぶことはできないが、子供が父親を選ぶことはできないが、母親には明確に伴侶選びの責任がある。そのことを忘れて父親の存在だけを議論しても始まらない。

○スグリ酸っぱし--夏便り2009/06/22

 子どもの頃、通学路の途中に空き家があって、その家の裏の垣根にスグリが植わっていた。この季節、その実は桑の実と並ぶ楽しみであった。桑の実は手のひらにも唇にも食べたことの証拠が残ったが、スグリにはそうした心配がない。時期が早く、まだ実の碧いうちは棘に気を付けながら一つか二つ摘んで味を見た。しばらくして黄色に熟れ始めると、枝が丸坊主になるほど全部摘み取って口に運んだ。もちろん咎める人もいなかった。全ては自分の腹との相談だった。
 この植物も謎の多いもののひとつだろう。近年は園芸店などで盛んに類似の品種が販売され、その素性がますます分かりにくくなっている。赤や黒の色名を冠したもの、西洋やアメリカなどと地名を冠したもの、gooseberryの片仮名で呼ぶものなどその種類は少なくない。ある時期、これが信州など中部地方の特産と言われたこともあったように記憶する。漢字では酸塊の2字を当てるが、これも和名に漢字を当てたのか、漢名に訓を振ったのか確かめないといけない。

○かもさん おとおり--夏便り2009/06/22

 全国的には今年の田植えはほぼ終了したと思いますが、関東地方以西の暖地ではこれから7月の初めにかけてというところもあるようです。そんな田圃の一枚が代掻きを終え、明日あたりからさあ田植えが始まるぞというとき、鴨の親子が下見にやってきました。
 農薬を使わない水田にはいろんな生物が住んでいます。きっとその辺の河川より安心できることを知っているのでしょう。これから夏の終わりまで鴨たちは餌場に困ることがありません。
 写真は前にご紹介した徳さんがつくる田圃です。徳さんのお陰でこの辺りの自然環境は守られています。徳さんが住人にもたらしてくれるのは新鮮野菜だけではないのです。頭が下がります。

 ⇒http://atsso.asablo.jp/blog/2009/03/08/ 大根の味(2)