○木苺の花--夏便り2009/06/19

 子どもの頃、よく田圃のあぜ道や土手を這うようにして、野イチゴの実を探し回った。そんな実のあることを教えてくれたのも多分、父であろう。水田の見回り中に見つけると、子どもを喜ばせようと手土産のように持ち帰ったのだ。列島に暮らす人々はこのようにして親から子へ子から孫へと、食べられる木の実とそうでないものとの識別を伝えてきたのではないか。
 だから、もらって食べたのは真っ赤に熟れた濃い紅色の野イチゴが多かった。長じて少し遠い山道まで足を延ばすと、棘(とげ)のある藪の中に黄色の野イチゴを見つけることがあった。これを教えてくれたのが誰であるかは思い出せない。叔母かも知れないし、近所の長上の子供たちかも知れない。味はやや浅い気がする。だが決して悪い味ではなかった。
 以来、田圃のあぜ道で見つける紅色の野イチゴが苗代苺、藪の中の棘と一緒に見つける野イチゴが黄苺だと考えるようになった。掲載した一枚は藪にできるキイチゴの園芸種である。花と、熟す前の実とが写っている。果たしてこの実はどんな色に熟すのか。(この続きは「木苺の実」に掲載)

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