○ほおずき5--梅雨明け(9)2009/07/22

 酸漿がほおずきの漢名であることはすでに述べた。中国ではこれをスアンジァン(suanjiang)と呼んでいる。ほおずきには他に、鬼燈あるいは鬼灯の字を当てる表記法もある。江戸時代前期につくられた次の句は、その最もよく知られた例である。

  鬼灯は実も葉もからも紅葉哉  芭蕉

 この表記法がいつ頃、誰によって始められたものかは明確ではない。しかし15世紀後半の後土御門(ごつちみかど)天皇の頃につくられた「節用集」(文明本)には「或ハ鬼燈ト云フ。其ノ実赤ニシテ燈ノ如ク也」と説明されている。「和名本草」以後、600年近い時間が流れている。この間の平安後期か、鎌倉期か、あるいは室町前期に誰かが使い始めたと考えるのが妥当だろう。推測できるのは今のところ、ここまでである。(了)

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