○白詰草--盛夏2009/07/25

 今はシロツメクサよりクローバーと呼んだ方がとおりがよいのかも知れぬ。味の濃い牛乳にも確かそんな名前があったように記憶する。アカツメクサとの違いは昨日も書いたとおりだが、植物分類では同じ科に属し共にヨーロッパ原産の牧草だという。日本にはきっと長崎出島のオランダ商館を通じて江戸時代にでも渡来したのだろう。
 牛乳を思い出すのも、この植物が冬場の乳牛の餌として欠かせないものだからである。刈り取った後もそのまま同じ場所に放置し、すっかり乾燥しきってから丸めて大きな干し草の束にする。そして納屋にしまうのだが、この干し草が何ともよい臭いがするのである。お日様の臭いとは多分、あの干し草になったシロツメクサなどの臭いではないだろうか。そう言えば昔、農家の布団は木綿の生地の破れから干し草が覗いていたような気がする。肌触りはざくざくして素肌には痛いが、よい臭いがしたことを覚えている。それが綿に変わったのは、いつのことだろう。
 これを「詰草」と呼ぶのは、乾燥させたものが布団の綿代わりや木箱の詰め物代わりに使われたからであろう。木箱を開けると、中に乾燥した牧草がいっぱい詰まっていて、その臭いを嗅ぎながらお目当ての品が顔を出すまで、ワクワクしながら次々に干し草を取り除いた記憶もどこかに残っている。先日、何十年ぶりかで古い辞書を繙(ひもと)いたら、中にいくつも四つ葉のクローバーの押し葉が挟んであった。誰かに贈るつもりでせっせと探し集め、押し葉をつくっていたものらしい。

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