●粛々と2009/07/13

 静かに、ひっそりと何事かをなすさまをいう。粛の正字である「肅」は水に関係の深い「淵」の旁(つくり)を構成要素にもち水の激しい流れの意であったが、音の「シュク」が夙(シュク)に通じることから畏れ慎む意に借用され、やがてこの借用義が専らとなった。厳かなさまを示す「厳粛」、静かなさまを示す「静粛」が現代における代表的な熟語の例である。また頼山陽の詩「鞭聲肅々夜河を過(わた)る」が人口に膾炙されて多くの人の知るところとなった「粛々」は、本来なら騒々しくなっても不思議ではない事柄を少しも騒ぐことなく淡々と処理するさまを表す。この言葉は、国会審議に絡んで野党提出の懲罰動議や内閣不信任案などを与党側が否決する際の記者会見における常套句となっている。なお鞭聲は鞭の音の意である。

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