○栗拾い(1)2009/09/21

 近所の石山さんの家でも栗拾いが始まった。早朝、栗畑というか栗林に行って、落ちている栗の実を拾い集める。あるいは落ちている毬から栗の実を取り出す。こんな時はゴム長靴が一番である。毬を踏んでも痛くないし、毬を踏んづけて栗の実を取り出す際にも便利だ。

 子どもの頃の話である。まだ暗いうちに母は起き出し、嫁入り前だった叔母と連れだって山へ向かった。目指すは山栗の実である。1時間も歩くと栗の木が多く生える山頂近くの沢に着く。その時間にはもう足元がよく見えるくらいの明るさになっている。それからは視力と手の早さとを頼りに、虫食いのない栗の実を余すことなくひたすら拾い続ける。
 生栗はひとつひとつは小さくても数が集まると重くなる。腰に付けた魚籠(びく)に半分もたまると魚籠が腰にぶら下がって仕事の邪魔になる。そこで栗は背負い籠に移し、また拾い続ける。こうして2時間も拾うと、もう持ち帰れないほどの量になる。そこで栗拾いはお仕舞いにして、持参した握り飯を食べ家路につく。(つづく)

  山びこのひとりをさそふ栗拾ひ 飯田蛇笏

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